主催者インタビュー

Screening Producer
Special Interview

埼玉県民1万人に
ケアニンを届けたい。

山口 真(埼玉県川越市)
一般社団法人シンビオージ代表理事
株式会社Restory取締役
社会福祉法人副都二十一理事兼施設長

自分自身の介護の仕方やケアのあり方を振り返るきっかけにして欲しい

上映会を開催しようと思われた理由を教えてください。

今まで介護を題材にした映画はたくさんありましたが、介護現場をただそのまま映画にしているだけだったり、暗い内容のものが多かったように思います。「ケアニン」は、未来を見据えてどういう介護をしていくべきか?と自分自身に問われるような、今までに無かった映画でした。介護職にとっては「そうだよ、そうだよ」と共感するシーンが多く、介護をされているご家族にとっても「そういう時があったな」と思い出されたり、色々な立場の人が改めて介護について考えるきっかけになっていく作品です。

現場の職員には自分自身の介護の仕方やケアのあり方、そもそも今の施設の介護はどうなのだろうと振り返るきっかけに、また一般の方には暮らしや人間関係などの地域のあり方を考えるきっかけになってくれればと思いました。

地域の方や福祉関係者だけでなく、一人でも多くの人に作品を届けたい

上映会を開催してみた感想を教えてください。

初めての開催場所は埼玉県坂戸市だったのですが、市外はもちろん県外からもたくさんの方が来てくださいました。これをきっかけに人との繋がりができ、有志団体(映画「ケアニン」普及実行委員会埼玉)で上映会を主催するようになりました。その次に開催した時には、さらに来場者の方と繋がりができていき、そういう相乗作用が働いて横の繋がりが出来た事が良かったなと思います。
ただ、介護の関係者だけが集まって開催するのではなく、介護自体に馴染みのない方にご参加いただいて、繋がっていけるようにしてきたいですね。介護に関心がない人たちにどう興味を持って来ていただくかが大事です。自分が住んでいる地域や福祉関係の人たちだけで観て「良かったね」だけで終わってももったいないので、今では1人でも多くの人に届けたいなという想いで開催しています。

集客方法はどのようにされていますか?

協賛・後援団体を通じて、上映会の告知や案内をしています。県内10ヵ所で開催してきましたが、地域によって協賛・後援団体は違います。ですので、その地域で地元の法人や団体と繋がりのある人や興味を持ってくださっている人を巻き込む形で進めています。また、学校などが後援についてくださるだけで印象はかなり違うので、そこは必ずアプローチします。

これからは福祉以外の企業や多職種が連携し、自分たちで地域のために何ができるのだろうと話しができる関係が求められると思います。なので、後援・協賛団体は、様々な方々が興味を持って上映会に来てもらえるような団体にすることも重要になります。
あとは、地道な活動ですが、お店などにポスターを貼っていただけたらチケットを何枚かお渡しして、「来てほしいんです」と直接働きかけるなども大事だと思います。

上映会を開催して何を生み出したいのか、コンセプトをしっかりと持つことが大切

上映会の開催を検討している方にアドバイスがあれば教えてください。

基本的には、上映会のマニュアル通りに準備をすればどなたでも開催できると思います(笑)。ただ、僕たちが大事にしているのは、「(上映会は誰でも開催できるけど)そこから何を生み出したいのか?」という事です。介護を地域の人たちに知ってもらいたいのか、専門職の意識を変えるためにやりたいのか、上映会をやって何をどう見せたいのかというコンセプトがないと、「やりましょう!」「やろう!」で終わってしまいその先に繋がりません。逆に言えば、そこをきちんとやればできると思うので、コンセプトをしっかり持つことが大切だと思います。
僕らは上映会をやったという実績がほしいのではなく、1人でも多くの方にちゃんとこの映画のテーマが届くことが大事だと考えています。まだまだ届いていないと実感することが多いので、様々な方法を使って、埼玉県内では10,000人の動員を目標に頑張っていきたいです。

※上記インタビューは2018年12月に実施しました。
山口真(やまぐち まこと):埼玉県川越市
1986年生まれ、京都府出身。幼少期より父親が障害者授産施設の自営をやっていた話を聞き、福祉の仕事に興味を持つ。19歳のときに埼玉県の特養に入職。その後、民間企業のデイサービスに興味を持ち転職。自分が理想を描くサービスを展開できることにやりがいを感じ、特養、グループホーム、デイサービス、サービス付き高齢者向け住宅、小規模多機能型居宅介護の事業形態で経験を積み、30歳で独立。半日型リハビリデイサービスを経営しながら、介護施設のコンサル事業を展開。2019年6月より、現職場の社会福祉法人福都二十一(ふくとにじゅういち)の特別養護老人ホームアイリスの施設長に就任。